離島航路の未来を語る|壱岐と喜界島から見えた課題と可能性

壱岐市の市政をテーマに情報発信を行っている中で、離島航路に関する記事をキッカケに、離島専門メディアである 離島経済新聞社(通称:ritokei) のオンライン配信に出演する機会をいただきました。

今回は、壱岐の航路の現状や課題についてお話しするとともに、他地域の事例として喜界島の航路についても、共に出演された谷川理さんからお聞きしながら、離島航路の未来について議論しました。

配信内容は下記から見ることができます。

1時間という短い時間の中で、壱岐対馬航路のことを十分にお伝えすることはできませんでしたが、壱岐島民の一人として、自分なりに前向きな発言ができたのではないかと思います。

以下に配信の内容をまとめると共に、お話できなかった内容も記しておきたいと思います。

▼壱岐の現状

壱岐の博多航路は現在、

  • フェリー:1日3便
  • ジェットフォイル:1日3便
    と、離島の中では比較的便利な環境にあります。

福岡との往復も日帰りができる距離感で、生活や仕事においても重要なインフラです。

しかし、2024年3月上旬に 九州郵船 が人員不足によるジェットフォイル減便を発表し、4~6月の間、2隻体制から1隻体制となることになりました。

▼減便の影響

減便によって、すぐに大きな混乱が起きているわけではありません。ただ、じわじわと影響は出ているように感じます。

実際に行き来している立場としても、「ちょっと余裕がなくなってきたな」という感覚がありますし、「このままで大丈夫か?」という不安は確実に島民の間で広がっています。

▼課題の本質

今回の減便は、壱岐島民が「離島航路をあらためて考える」いい機会になったように感じます。

便数が減ったこと自体ももちろん課題ですが、それ以上に気になるのは“中身”の部分です。そもそも以前から現状課題として、以下に記すような課題を島民は感じており、今回の減便がキッカケでこうした不満もあらためて表出しているように思います。

このあたりは、お金をかけずとも少しずつ改善できる余地があると感じています。

▼喜界島の事例

ここで参考になるのが、今回共に出演いただいた谷川さんによる鹿児島県の 喜界島 の事例です。

喜界島は、

  • 航路の選択肢が限られている(現在、週4便で船が通わない日がある)
  • 天候による欠航リスクが高い(鹿児島~喜界島間は約11時間。終港までの航路は片道18時間もかかる)
  • 物流、生活への影響が大きい(欠航すれば週3便、週2便になることも)

と壱岐よりもかなり厳しい航路条件に置かれています。

【参考記事】航路週4便へ減便案 船員不足で運航体制見直し 住民説明会に反発や戸惑い 喜界町

そもそも壱岐は九州本土、しかも、福岡市の都市部にすぐアクセスできる博多港と島がわずか1時間で結ばれている好アクセス環境は全国的に見ても、優位性が高いといえるでしょう。

つまり、壱岐はまだ「余裕がある段階」であり、今のうちに手を打てるかどうかが分岐点です。

▼解決策を考えてみる

個人的な提案になりますが、これからは「壱岐対馬島民と九州郵船との心の距離をいかに縮めるか」がこの航路維持に大きく影響を及ぼすと考えています。

これは壱岐だけでなく、すべての離島航路に通じることだと思います。

個人的には、「人を運ぶ会社」から「想いも運ぶ会社」へという考え方のシフトが大事だと思っています。

私たちは当たり前のように、離島運賃補助で割安な船に乗り、壱岐から博多に出ることができています。九州郵船としても、「安全に乗客を運ぶ生活航路」を命題として、欠航率の低い航路を維持しています。

お互いに密接な関係にありながら、お互いのことを空気のように感じており、いつしかお互いの大切さが見えにくくなってきているのではないでしょうか。

▼まずはお互いに知る所から始めよう

私たちはフェリーやジェットフォイルの乗り方や船内での過ごし方は知っていても、九州郵船の人たちがどんな想いを持って、仕事をしているか知りません。

また、実は壱岐や博多港でフェリーやジェットフォイルの運行をサポートしているのは、九州郵船の人たちだけではなく、壱岐や博多の海運会社の人たちも関わっていますし、生活物資を運ぶ運送会社の方もいます。

私たちはまとめて「九州郵船の人たち」というイメージがありますが、一つ一つ見ていくと、色々な人が関わって、人や物が運ばれていることを感じることができます。

私たちがもっと感じたり、考えることができるように、九州郵船には「情報をもっと伝えて欲しい」と思います。

そのために、SNSでの情報発信やQRチェックイン等のDX化、船内環境の向上等も含めて、船の魅力を伝えながら、充実させる施策を九州郵船には期待したい所です。

ちなみに昨年12月に佐渡島に行ったのですが、佐渡汽船はデジタル化が進んでおり、フェリーターミナルも観光化情報が多く、お金を落とすポイントもたくさんありました。参考になる事例だと思います。

▼組織の再設計

もう一つ大事なのは、誰がどう関わるかです。

DX化により窓口業務の省人化、QRチェックインが進めば、他の業務を行う余裕も生まれるかと思います。

例えば、九州郵船壱岐支店に、「離島航路ブランド戦略室」のような官民連携の場があると面白いのではないかと思っています。

▼まとめ

離島航路は単なるインフラではなく、「人と人との関係性を運ぶ装置」です。

ないとみんなが困るもの。

なくなれば、物も、人も、想いも届かなくなります。

今回の配信を通じて強く感じたのは、

  • 航路事業者だけの問題ではない
  • 行政だけでも解決できない
  • 島民も含めた「共創」が必要

ということです。

▼九州郵船の変化

配信の途中に紹介させていただきましたが、海事系キャリアナビのYoutubeチャンネルで九州郵船の一等航海士の方の一日に密着する動画が4月11日頃にアップされました。今まで見えなかった所が見える化することで、これを見た視聴者から好意的な、前向きな意見が寄せられています。

離島航路は「維持するもの」ではなく、みんなでつくるもの

今こそ、壱岐からその未来を描いていきたいと思います。

P.S 九郵カードとか作って、一等航海士、機関士といった職業や仕事を紹介するのは面白そうです。

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